いつか見た船

迷える子羊とその日記

ズートピア

見に行ったのは少し前ですが。


ズートピアの映画に興味を持ったのは、PVですでに共生の問題と、アメリカンドリームを思わせる言葉が出ていたから。


アメリカンドリーム言説の問題はマートンが指摘している。
望めば何にでもなれる。
チャンスはどこにでもある。
この言葉が孕む問題は、その人が立っている位置、高さ、チャンスの浮かんでいる高さ、腕の長さなどを考慮していないことである。嘘は言っていない。ジュディは確かに警官になることができた。努力に努力を重ねて、学校での成績も一番で卒業し、しかし、任された仕事は駐車違反取り締まり。彼女ができないことが問題なのではない。ニックは腕が届いたが、そこから叩き落とされた。
差別の問題があるところには必ず階級の問題がある。人口比は肉食獣10%、草食獣90%であるから、肉食獣が上に立つピラミッド構造であろう。警察、市長は肉食獣(高位)、あの企みを持った副市長は羊である。ジュディは田舎の出のウサギであり、ニックのキツネという存在も雑食で、決して高位のものではない。また、ズートピアでのネズミは金融業と、裏社会の人間として出てきている。ネズミ町の人は知らないけど。
ニックがアイスをわざわざ作って売っていたのは、小さな動物用のものがないことを見越してではないか。大都会にある厳然とした差別。ニックは決して多数派ではない。だから見えることがたくさんある。そこで生き抜くのに、キツネの知恵は役に立っただろう。

そしてガゼル。
アーティストとしての名前も、種族の名前もガゼル。
劇中でデモをやってるから、社会的影響力を持つアーティストなんだろう。種族の名前をアーティストとしての名前にするっていうのは並々ならぬこだわりを感じる。ダンサーはみんな虎だったね。アーティストにも肉食獣が多いとかそういう事情があるのかも?

ああ、英語版だとそれぞれの国や地方の訛りの英語を各キャラクターが喋っているそうです。
ジュディがウサギしかウサギのことを蔑称で呼ばないとか、小ネタも多いとか。
字幕版見たかったなー。