いつか見た船

迷える子羊とその日記

Detroit: Become Human/ロボットの(見かけ上の)性別と社会規範

Detroit: Become Human、買いました。やりました。スゴイ。けどなんかちょっと物足らない。

 

ラストはあそこで止まっていますけど、そこからが本当のOur Storyになるんですよ!!? 失礼。DLC商法かもしれないし、それはともかく。

 

 

主人公は何人かいますね。コナー、カーラ、マーカス。この三人の群像劇です。

 

コナーは警察にプロトタイプとして送られた最新鋭の試用機。カーラは裕福でない家に買われた家政婦型。マーカスは、噂によるとコナーよりスペック高いらしいですが、日本語だと情報出てこない。

 

 

一昔前、人工知能学会の表紙が炎上したことを覚えておいででしょうか?

www.huffingtonpost.jp

 

なぜロボットが掃除をしているイラストのロボットは女性型で、背中にプラグがささっており、やや悲しそうな表情をしているのかーつまり表象の問題ですね。

 

デトロイト:ビカムヒューマンはこの問題を部分的になぞっている。

 

コナーは警察で運用されるエージェント機ということを想定して、男性型になっていますし、顔もスーツが似合うように設計されています(後半のカジュアルな装いと見比べてみてください。見栄えが全然違います)。

カーラは女性型ですね。店の中に並んでいるのは男性型もいましたが、物語に出てくる子供の世話をする機械として登場したカーラは、やはり女性型です。

 

ここでハンクの劇中の発言を参照しましょう。

 

「なんでそんな間抜けな顔に設計されてるんだ」でしたっけ(うろ覚え)。ここでのコナーの解答がとても印象的です(こっちもうろ覚えだけど要旨はあってるはず)。

 

 

「私は周囲に溶け込めるように設計されています」

 

 

「周囲に溶け込む」=浮かない、ということです。つまりあの世界でも警察官には女性はいない、とまでは言わなくても最新鋭の警察業務を遂行するアンドロイドには男性という性がふさわしいとされている。カーラも同様ですね。

 

(まあ、カーラのことを考える場合には女性型としてのカーラを選んだお父さんをピックアップすべきかもしれません。アリスのことを考えて、男性型を無意識に避けたかもしれない。それはそれで性別の問題を浮上させることにはなりますが)

(もし介護・育児アンドロイドが女性型しかいないならこの問は問えますが、子供型アンドロイドを買うというところから、父親の代わりをさせられるアンドロイドもいそうです)

 

 

つまり、あの世界は現代の属性に基づく権力関係を超克していないんです。その権力関係は保存されたままロボットを導入した。そのためにああいう結末にならざるを得なかった、というところでしょう。

私が物足りなさを感じた理由はそこにあって、今のシステムにロボットを導入するという発想でいる限りそういうラストにしかなりえないからです。

 

人間同士でさえ協同できないのに、ロボットとなんか協同できるかよという感じです。

 

これは女性とLGBTみたいな話にも通じますね。それはまた追々話すかもしれません。