いつか見た船

迷える子羊とその日記

日本が変わらないのはなぜか

 

 

「派遣を選ぶなんて、近頃の若者は責任から逃げている!」

 

とても衝撃的な言葉ですが実録です。おじいさん世代ですね。

 

私たちがどれほど苦労してると思ってるのか! エントリーシート書いたことある!? ウェブテスト受けた!?(父親にこの質問をぶつけたところ、当然ながら「なかった」と言っていました)保険料いくら上がったと思ってるんでしょうね全く。

 

最近の若者は希望もなく働かされてそりゃ体壊すわみたいなご高齢の方のツイートを見ましたが、それが話題になるのは珍しいから話題になるわけでですね。

 

違和感はあるんですよ。めちゃくちゃ勉強していると親世代には「よく勉強してるね」とか言われます。そうしないと就職できないんですよ。いやマジマジ。

 

 

さて、この人達の共通点。若い世代のあれこれを知らないことです。知ろうとしない人も多いですね。さあなんでか考えてみよう。

 

日本は単一民族国家と信じられており(流石に今はそんなことないんだろうか)、その地理的閉鎖性から遺伝子多様性にも乏しいと思われます。一例として、服飾分野に人間の骨格を三種に分ける骨格診断理論というものがありますが、そのうちの一種が八割を占めると言われています。「同じ服が似合う人が多い」ということは「それが似合わない人は弾かれる」ということでもあります。たぶんその辺の事情も関係しています。

 

同調圧力、ですね。これは同じ集団間だけで適用されるものですが、これを任意の集団レベル、ここでは国民レベルに拡張すれば当然、「俺はできたのになぜお前は」ということになります。

 

上の人の言うことは絶対。「上の人」って誰ですか? 上司? 政治家? 親? 先輩?

少なくともその認識の中に権力関係が存在してるってことですよね?

 

 

 

アジアでは階級の縛りはかなりあります。ここでいう階級は直接的にとり結ぶ上下関係のことです。身分のことではありません。上の人が絶対、これは概ねアジアの傾向。

 

 

むしろ日本で特筆すべき点は次のものです。

 

アジアとしての考え方の悪癖は世界大戦時に出まくっていました。先輩は絶対で、先輩にされたように後輩をしごいて「鍛え」なければならない、戦争より先輩が怖い。『海軍めしたき物語』では、厨房で包丁を取り合う様子が記録されています。先輩から包丁をもぎ取らないと仕事ができない。できても文句を言われる。

陸軍と海軍の対立。ネジの規格が違うため、部品を流用できない。

 

結果はご存知の通りだったわけですが、日本が特殊だったのは、支配層が入れ替わらなかった点です。アメリカが日本を政治的に活用するため、支配層を残さざるを得なかったのだと私は解釈しています。元軍人が会社を経営したり、重鎮となって今も活躍? しています。

 

かくして変わることはできなかった。悪習は保存された。年配の人を厄介な人たちと見て遠巻きにする…つまり誰かが何をするわけでもなくその人の死を待つ。そしていざ自分が支配層になったら自分はそんな老人になっているかもしれない。だってそんな人しかいなかったから! 周りもみんなそうだから! 自分は正しい!

 

 

 価値観をアップデートできない、これは致命的な問題です。それを妨げる土壌があることはみんなわかっていますが、大戦時にそれが取り払われなかったというのも理由の一つではないか、という文でした。