日本企業は実はずっと前に強みを失っていたのではないか
もちろん神戸製鋼です。
原発の部品にも使われていたそうですね?
日本企業が落ち目なのはわかってはいましたが、まさかここまでとは思いませんでした。
社長の記者会見での謝罪の第一声は「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」です。改竄に対する謝罪ではありません。
では改竄がバレずに迷惑がかからなかったら良かったのではないですか?
さて、まずはなぜ企業が不正をするかに関してーーこの場合は基準を満たさない品質のものを売り渡すということになりますが、これは利益追求の行為です。
生産上、どうしても基準を満たさない「不良品」は出て来るものです。ここで企業は、それを廃棄するか、それともB級品として売るかの選択を迫られる。
当然、A級品との値段の差がそのままコストとなるわけです。廃棄なら廃棄代も入ってかなりマイナスになりますね。そこでデータを改竄すれば確かに利益は出ます。
ここまではいいでしよう。企業は利益を追求する集団であり善悪はともかく筋は通ります。
問題は、なぜそこでそうだ改竄しよう、と思ってしまったかです。
改竄がバレたとき、彼らだってどれほどの騒ぎになるかはわかっていたはずです。鉄は素材産業ですし。
確かに論理的に筋は通りますが、これだけではあまりに理由として乏しい。改竄をする理由にはもちろんなりません。
ここのところ、日本企業の不祥事・弱体化が目立ちます。
東芝、日産、シャープ、神戸製鋼…いずれも劣らぬ日本の名企業たちです。日本の高度経済成長とともに育ち、日本産業の代名詞となった電化製品や自動車。
弱体化のなぜを探るには、なぜ強かったかを知ることが必要でしょう。
インテルCEO、アンドリュー・S・グローブは著書の中でこう述べています。
日本企業の強みは上司も部下も同じテーブルについているため、問題についてすぐに討議ができることだった(しかし、電子メールが成立して以来、それは日本だけの強みではなくなってしまったのだ)、と。
つまるところ、日本の企業経営とは共同体経営と呼ばれるものでした。
企業というものは、チームというより家族に近い存在である。だから社会保障もつけるし、安定的に雇用するし、そのためには一括採用してずっと教育するのが便利で、……日本的雇用慣行というやつです。
もちろんこれが効果的な時代もありました。高度経済成長期のことですね。資金が潤沢にある時代はそれでもよかったのです。人間を機械みたいに働かせても報酬が出せました。
今はどうですか?
機械ならコンピュータがある、人工知能(あえてこう言わせてもらいます)もある、じゃあ私たちが出来ることは? 報酬がもらえない、競争力もない、資金力もない、研究開発も出来ない。その上で人工知能の流入に対し、何らかの対策を講じない人がかなりの割合に登ります(総務省:246, http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n4300000.pdf)
やーそりゃ代替されますよ。ねえ。
利益追求の能力が不足している、時流の変化にも対応できない、だから改竄なんかに走ることになったのではないか。
それが私の疑念です。