映画「攻殻機動隊」の世界の矛盾(ネタバレとともに)
観てきました。原作ファンの友人は世界観の再現を頑張ってくれたとは言っていました。努力賞という感じでしょうか。一億しかないのにあれは確かによくやった方だと思います。
原作ファンでない私からは世界観へのツッコミをば。
1。サイバーエンハンスメントの訳がおかしいですね。義体化とはニュアンスが違います。
義体化の意味にはサイバーネットワークへの接続が含まれているはずです……冒頭を見る限りは。建物、サイバー化した人の中にデータの粒子が動いているのが確認できます。その説明はさっぱりなかったです。
2。町がごちゃごちゃしすぎ! 香港で撮ったそうですね。それ自体はいいんですが、サイバー化していたら町はもっとキレイだと思いますよ。だってデータ管理で望ましくない人もモノも排除してるはずですから。それを特定するくらい、あれだけIOTが進んだ世界なら簡単でしょう。
素子が元の家に帰るシーンがありますが、あまりにも中国風で……もともとそうならともかく、彼女は日本人でしょ。あんなアパートだと素子はそんなに貧しい育ちなのかと思っちゃいますよ。
3。多言語表示は時代遅れです。人間の中にもサイバーチップが埋め込まれているなら、視界に入ると同時にその人に適していると判断される広告表示がなされるはず。その広告表示は言語が自動翻訳されるだけでなく、本人の嗜好に合わせたカスタムがされていると思います。やってることは今と変わりませんからね、デバイスが違うだけで。もうこの取り組みは始まってますよ。
よってバトーや少佐は多額の金銭を支払って視界の中の広告を消しているというのが私の結論です。
4。電力消費どうなってるの? ネットワーク化が進んでおり、人間の中のチップが結合されてそれが末端となり、えーとつまり、中枢にあたるスパコンがあるはずです。
リアルタイムで情報を処理するためには人工知能も必要だし電力も必要です。当然その人工知能はアメリカ製ですよね! どこの会社のかな。
5。あの世界の人間がどこまでサイボーグ化しているか。少佐は体が全てサイボーグだったと思いますが、裕福な層と貧困な層で当然格差があると思います。
一番最初に出てきた社長たちはみんなサイボーグ化していますね。大統領はしてませんでしたが、まだサイボーグ化が進んでいないということから、より階層が下の国であると判断できる。町で立っていたお姉ちゃんも、あれはサイボーグに入るのか、それともただの化粧に入るのか、線引きが微妙です。
ウェアラブルデバイスも特に出てこなかったし、うーん謎だ。「サイボーグ化に抵抗がある、でもデータ処理はしないともうついていけない、そんな人のためのグーグルグラス!」売れそうじゃないですか。でもお高いんでしょ? とかいって分断が進み格差が開くんですよ。
6。最後の国家反逆罪ってどうやって決まったんですか? 企業利益を追求しただけで裁判もせず、そこですぐ断罪して撃っちゃうってそっちの方が危ない人では? 法手続きどうなってるの? これだとあれデータ管理に基づいた独裁国家って判定になるのでは?
突っ込みどころが多い映画でした。でも興味深い映画でした。